「できた!」を増やす ポジティブ心理学で失敗を恐れなくなる習慣
失敗が怖いと感じるあなたへ
新しいことに挑戦したいけれど、過去の失敗が頭をよぎり、なかなか一歩を踏み出せない。周りの人の評価が気になってしまい、もし失敗したらどうしようと不安になる。そんな気持ちを抱えていませんか。
特に、責任ある立場になったり、変化の多い年代になったりすると、失敗したくないという気持ちが強くなるものです。そして、その恐れから行動が億劫になり、さらに自信をなくしてしまうという悪循環に陥ることも少なくありません。
この記事では、ポジティブ心理学の視点から、失敗への恐れを乗り越え、前向きな一歩を踏み出すための具体的な習慣をご提案します。難しいことや特別なスキルは必要ありません。今日からすぐに実践できる、身近な「小さな成功体験」を意識的に作る方法についてお話しします。
なぜ「小さな成功体験」が失敗への恐れを減らすのか
失敗を恐れる気持ちの背景には、「自分にはできないかもしれない」「どうせうまくいかないだろう」といった、自分自身の能力や可能性に対する自信のなさ、すなわち「自己効力感」の低さが関わっていることがあります。自己効力感とは、「自分は目標を達成できる」という感覚のことです。
ポジティブ心理学において、自己効力感は幸福感やwell-beingを高める重要な要素の一つと考えられています。そして、この自己効力感を高める最も強力な方法の一つが、「達成行動による成功体験」なのです。
「大きな」成功でなくても構いません。ほんの小さなことでも、「よし、できたぞ!」という感覚を得ることが、脳に「自分はできる人間だ」というメッセージを送り、自己肯定感を高めます。この「できた!」という体験が積み重なることで、「次もきっとできる」「失敗しても、また挑戦すればいい」という前向きな気持ちが育まれ、失敗への恐れが自然と和らいでいくのです。
ポジティブ心理学に基づいた「小さな成功を作る」習慣
それでは、日常生活の中で意識的に「小さな成功体験」を作り、自己効力感を高めるための具体的な習慣をいくつかご紹介します。どれも、特別な準備や時間が必要ない、簡単なものばかりです。
習慣1:目標を「究極に」小さく設定してみる
何か新しいことを始めようと思ったとき、つい完璧な状態や最終的な大きな目標だけを見てしまいがちです。しかし、それが「失敗する可能性」を強く意識させ、一歩目を踏み出せない原因になります。
そこで試していただきたいのが、目標を「これ以上小さくできない」というレベルまで細分化することです。
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例:ブログを書きたいけど、何から始めていいか分からない
- 大きな目標:ブログ記事を公開する
- 小さな目標1:ブログのテーマを決める
- さらに小さな目標2:ブログのタイトル案を3つ考える
- 究極に小さな目標:ブログについて考える時間を5分だけ取る
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例:部屋を片付けたいけど、どこから手をつけていいか分からない
- 大きな目標:部屋全体をきれいにする
- 小さな目標1:机の上だけ片付ける
- さらに小さな目標2:引き出しを一つだけ整理する
- 究極に小さな目標:ゴミを一つだけ捨てる
このように、目標を「究極に」小さく設定することで、「これなら今の自分にも確実にできる」という感覚が生まれます。そして、その「究極に小さな一歩」を達成すること自体が、立派な成功体験となります。
習慣2:「できたこと」を意識的に記録・認識する
私たちは、できなかったことや失敗したことについてはよく覚えている一方で、当たり前に「できたこと」については見落としがちです。しかし、小さな成功体験を積み重ねるためには、「できたこと」を意識的に認識することが重要です。
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寝る前に「今日できたこと」を3つ書き出す:
- 特別なノートやアプリは不要です。スマホのメモ機能でも構いません。
- 仕事でメールを返信できた、頼まれた買い物を済ませた、朝いつもより早く起きられた、部屋の隅っこを少しだけ掃除した、など、どんなに些細なことでも構いません。
- 3つ挙げられなくても、1つでも2つでも大丈夫です。「できた!」という事実に焦点を当てることが目的です。
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チェックリストを活用する:
- ToDoリストを作っている方は、タスクが完了したらしっかりとチェックマークをつけましょう。視覚的に「達成したこと」を確認できます。
- 日々のルーティン(歯磨き、顔を洗うなど)をあえてリストアップし、チェックをつけていくのも有効です。「これだけは毎日できている」という自信につながります。
「できたこと」を意識的に記録し、振り返る時間を取ることで、自分は何もできていないわけではない、日々着実に小さなことを達成しているという感覚が育まれます。
習慣3:結果だけでなく「プロセス」を褒める
目標達成できなかったり、途中でうまくいかなかったりすると、「やっぱりダメだ」と自分を責めてしまいがちです。しかし、ポジティブ心理学では、結果だけでなく、そこに至るまでの努力やプロセスを評価することが重要だと考えます。
- 「〜しようとした自分」を褒める:
- 目標を達成できなかったとしても、「〇〇を達成するために、△△を調べた自分はえらい」「今日は疲れていたけど、それでも少しでも取り組もうとした自分は頑張った」のように、行動や努力そのものに焦点を当てて自分を褒めましょう。
- これは、失敗を「自分の能力のなさ」ではなく、「やり方」や「状況」に起因するものとして捉え直し、次に繋げるための第一歩となります。
「完璧にできなかったこと」に焦点を当てるのではなく、「やろうとしたこと」「取り組んだこと」に焦点を当てることで、挑戦すること自体へのハードルが下がります。
小さな一歩が大きな変化に繋がる
ここでご紹介した習慣は、どれも一見すると当たり前のように思えるかもしれません。しかし、これらの「小さな成功体験」を意識的に作り、認識することを続けるうちに、あなたの内面には少しずつ変化が生まれます。
「自分にもできることがある」という感覚が育ち、新しいことへの挑戦に対するハードルが下がります。たとえ失敗したとしても、「これは次に活かせる学びだ」と捉え直せるようになります。そして、そうやって少しずつ行動範囲が広がっていくことで、人生はより豊かで、可能性に満ちたものへと変わっていくでしょう。
焦る必要はありません。まずは、今日、この瞬間から、究極に小さな一歩を踏み出してみてください。そして、その「できた!」という感覚を、自分自身でしっかりと認めてあげてください。その小さな積み重ねこそが、失敗を恐れない、前向きな自分を作る確かな土台となります。
応援しています。