ポジティブ心理学でポジティブ感情を増やす習慣 失敗を恐れない自分を作る
失敗を恐れてしまう。新しいことに挑戦したいけれど、もしうまくいかなかったらどうしよう。周りの人にどう思われるだろう。そう考えてしまい、なかなか一歩が踏み出せない。
あなたは、そんな気持ちを抱えていませんか。
過去の失敗が心に引っかかっていたり、自信が持てなかったりすると、どうしてもネガティブな感情に引きずられやすくなります。そして、ネガティブな感情は、さらに私たちの視野を狭め、行動をためらわせてしまうことがあります。
でも、心配しないでください。ポジティブ心理学には、こうした状態から抜け出し、失敗を恐れず前向きに進むためのヒントがたくさんあります。その中でも、私たちが日常で意識的に「ポジティブな感情」を育むことは、とても強力な助けとなります。
ポジティブ感情が失敗への恐れを和らげる理由
ポジティブ心理学の研究は、喜び、感謝、希望、興味といったポジティブな感情が、単に気分を良くするだけでなく、私たちの心と体に様々な良い影響を与えることを示しています。
特に、「拡張-形成理論(Broaden-and-Build Theory)」と呼ばれる考え方では、ポジティブ感情は私たちの思考や行動の幅を「拡張」し、困難に対処するための個人的なリソース(知的なスキル、身体的な健康、社会的なつながりなど)を「形成」するとされています。
つまり、ポジティブな感情を経験することで、私たちはより広い視野で物事を考えられるようになり、新しいアイデアや可能性に気づきやすくなります。また、問題解決能力が高まり、精神的な回復力(レジリエンス)も向上します。
失敗への恐れを感じているとき、私たちの心は「失敗したらどうなるか」というネガティブな可能性にばかり囚われがちです。しかし、意識的にポジティブ感情を増やすことで、心の視野が広がり、「たとえ失敗しても大丈夫」「次はこうしてみよう」と、建設的に考える余裕が生まれるのです。
日々の生活でポジティブ感情を育む簡単な習慣
では、どのようにすれば日々の生活の中でポジティブな感情を増やすことができるのでしょうか。特別なことや難しいことをする必要はありません。ポジティブ心理学に基づいた、すぐに実践できる簡単な習慣をいくつかご紹介します。
習慣1: 「今日の良かったこと」を見つける習慣
一日の終わりに、その日にあった「良かったこと」「感謝していること」を3つ書き出してみましょう。どんなに小さなことでも構いません。
- 朝、気持ちの良い空が見られた
- 美味しいコーヒーを飲めた
- 同僚が手伝ってくれた
- 散歩中に綺麗な花を見つけた
- やりたかったことが少しでも進んだ
このように、ポジティブな出来事に意識的に焦点を当てることで、私たちは日常の中にある幸せや恵みに気づきやすくなります。これは「感謝」というポジティブ感情を育む強力な方法です。続けることで、自然と物事の良い面に目を向けられるようになり、ネガティブな思考パターンから抜け出す手助けになります。
習慣2: 小さな楽しみを意図的に作る習慣
「〇〇をしたら楽しい」「〇〇していると心地よい」と感じる活動を、意識的に計画して行いましょう。
- 好きな音楽を聴きながら通勤する
- 休憩時間に少し外を歩いてみる
- お気に入りの香りのアロマを焚く
- 短い時間でも好きな本を読む
- 美味しいお菓子を一つだけ味わって食べる
こうした小さな楽しみは、「喜び」や「満足感」といったポジティブ感情を生み出します。ポイントは「意図的に」行うことです。忙しい毎日の中でつい後回しにしてしまいがちな自分のための時間を意識的に設けることで、心の活力が養われます。
習慣3: ポジティブな情報に触れる習慣
私たちが触れる情報は、感情に大きな影響を与えます。ネガティブなニュースや批判的な意見ばかりに触れていると、知らず知らずのうちに心が沈んでしまうことがあります。
意識的にポジティブな情報を取り入れてみましょう。
- 心温まるニュースやエピソードを読む
- 感動する映画やドキュメンタリーを観る
- 好きなことや興味のある分野に関するポジティブな情報源を探す
- 目標を達成した人の話を聞く
これにより、「希望」や「興味」、「インスピレーション」といったポジティブ感情を刺激することができます。心の栄養となる情報を選び取ることが大切です。
習慣4: 小さな親切をする習慣
誰かのために何かをする、感謝の気持ちを伝えるといった「親切な行動」は、受け取った側だけでなく、行った側にもポジティブな感情をもたらします。「利他行動」は幸福度を高めることが多くの研究で示されています。
- 家族に「ありがとう」と丁寧に伝える
- 困っている人に「大丈夫ですか」と声をかける
- 友人の良い点を褒める
- 職場の仲間の手伝いをする
- ボランティア活動に参加する(小さなことから)
こうした行動は、「 connectedness(つながり)」や「purpose(目的)」といったポジティブな感覚を深め、自己肯定感にも繋がります。大きなことでなくて良いのです。日々の小さな親切を意識することで、自分自身の心も温かくなります。
完璧を目指さなくて大丈夫
ご紹介した習慣はどれもシンプルで、すぐに始めることができます。しかし、毎日完璧に続けなければいけない、と気負う必要はありません。
疲れている日や、どうしても気分が乗らない日があっても大丈夫です。そんな日があっても自分を責めず、「また明日からやってみよう」と気軽に考えてください。大切なのは、完璧さよりも「続けること」です。たとえ数分でも、意識してポジティブな側面に目を向けたり、心地よい体験をしたりする時間を持つことが、少しずつ心の状態を良い方向へ導いてくれます。
小さな一歩が未来を変える
失敗への恐れは、多くの方が経験する自然な感情です。しかし、その恐れに支配されて一歩が踏み出せないのはもったいないことです。
ポジティブ心理学が示すように、ポジティブな感情は私たちの内なる力を引き出し、困難を乗り越え、新しい可能性に目を向けるのを助けてくれます。
今日から、ご紹介した習慣の中から一つでも、小さな一歩として始めてみませんか。日々の暮らしの中に意図的にポジティブな感情を取り入れる時間を作ることで、少しずつ心の弾力性が養われ、失敗を必要以上に恐れない、前向きな自分へと変わっていくことができるでしょう。
あなたの中に眠るポジティブな力を信じて、ゆっくりと、でも確かに、歩みを進めていきましょう。応援しています。