ポジティブ心理学で変わる 未来への不安を手放す習慣
未来の「もしも」に縛られていませんか?
新しいことに挑戦しようとしたり、少しだけいつもと違う道を選ぼうとしたりする時、頭の中に「もし失敗したらどうしよう」「きっとうまくいかない」という声が響くことはありませんか。特に過去にうまくいかなかった経験があると、未来に対してもついネガティブな予測をしてしまい、その不安から一歩踏み出せなくなってしまうことがあります。
未来のことは誰にも分かりませんし、私たちはコントロールできないことに対して特に不安を感じやすいものです。しかし、その「もしも」という不安に心を囚われすぎると、今できることや目の前の小さな可能性に気づきにくくなってしまいます。
この状態から抜け出し、未来への過度な不安を手放して、もっと軽やかに今を生き、前向きに行動できるようになるために、ポジティブ心理学に基づいたいくつかの習慣をご紹介します。どれも特別なスキルは必要なく、日常生活の中で簡単に試せるものばかりです。
ポジティブ心理学が示す「今」と「未来」の関係
ポジティブ心理学では、人がより良く生きるための様々な要素を探求しています。その中で、「今ここ」に意識を向けること(マインドフルネス)や、未来に対する希望を持つこと(ホープ理論)、そして自己効力感(「自分にはできる」という感覚)を育むことが、不安を軽減し、幸福感を高めることにつながると考えられています。
未来への不安が強い時、私たちの心はまだ起こってもいないこと、コントロールできないことにエネルギーを費やしがちです。しかし、意識を「今」に戻し、目の前の小さな現実に目を向けることで、不安の渦から一時的に抜け出すことができます。また、小さな「できた」を積み重ねることは、未来への漠然とした不安に対して、「自分には何かを成し遂げる力がある」という静かな自信を与えてくれます。
未来の不安を手放すためのポジティブ習慣
習慣1:短い時間、「今ここ」に意識を向ける
未来への不安は、多くの場合、頭の中での思考として現れます。「こうなったらどうしよう」「あの時ああしていれば未来は変わったかも」といった、過去や未来に関する考えに心がさまよっている状態です。
ここで役立つのが、マインドフルネスの考え方を取り入れた「今ここ」に意識を向ける習慣です。難しく考える必要はありません。
実践のヒント:
- まずは1日数分、座って目を閉じ、自分の呼吸に意識を向けてみましょう。息を吸う、息を吐く、その体の感覚だけに注意を向けます。途中で未来の不安や他の考えが浮かんできても、それを良い悪いと判断せず、「あ、考えが浮かんだな」と気づいて、そっと再び呼吸に意識を戻します。
- 洗い物をしている時、歩いている時など、普段の生活の中で一つの動作に意識を集中する時間を作ります。お皿の感触、水の音、足が地面につく感覚など、五感を使って「今」起きていることに注意を向けます。
数分でも「今」に意識を向ける時間を作ることで、未来への不安でいっぱいになった頭の中が整理され、少し落ち着きを取り戻すことができるでしょう。
習慣2:今日できた「小さなこと」を3つ書き出す
未来の大きな目標や成功ばかりに目を向けていると、今の自分は不完全に思え、未来への不安が増すことがあります。しかし、私たちは毎日、意識している以上に多くのことを成し遂げています。
今日できた「小さなこと」に目を向ける習慣は、自分には「できること」があるという感覚(自己効力感)を育て、根拠のない未来への不安を和らげる助けになります。
実践のヒント:
- 寝る前など、1日の終わりに今日できたことを3つだけ思い出してみましょう。
- 「朝ちゃんと起きられた」「食事の準備をした」「誰かにありがとうと伝えた」「少しだけ片付けをした」「このブログを読んだ」など、どんなに些細なことでも構いません。「これくらい当たり前」と思わず、「できた」という事実に注目します。
- できればノートなどに書き出すのがおすすめです。書き出すことで、頭の中だけでなく視覚的にも「できたことリスト」を確認でき、「自分は何もしていない」といったネガティブな思い込みを打ち消す力になります。
今日という日を振り返り、小さな達成を認めることは、明日への静かな自信につながります。
習慣3:不安な気持ちを「書く」時間を作る
頭の中で未来への不安がぐるぐると思考を巡っている時、その思考はしばしば整理されておらず、より強く感じられることがあります。不安な気持ちや考えを外に出すことは、その正体を客観的に見つめることにつながります。
ジャーナリング(書くこと)は、自分の内面を探求し、感情を整理するための有効な方法です。
実践のヒント:
- 未来への不安を感じた時や、毎日決まった時間に、ノートとペンを用意します。
- 「今、どんな気持ちか」「何について不安を感じているのか」「具体的にどんなことが心配なのか」といった問いかけを自分にしながら、頭に浮かんだこと、心で感じたことをそのまま紙に書き出してみましょう。
- 文章になっていなくても、単語の羅列でも構いません。誰かに見せるためのものではないので、誤字脱字や文法を気にせず、自由に書き出します。
- 書き終えた後、書いたものを少し離れた視点で見返してみることも有効です。書き出す前よりも、少し気持ちが落ち着いたり、不安の輪郭がはっきりしたりするのを感じるかもしれません。
不安な気持ちを心の中に閉じ込めず、外に出してあげることで、感情との向き合い方が変わってきます。
小さな一歩が未来を変える
未来への不安は、私たちが何か新しいことを始めようとする際に自然に湧き上がってくる感情の一つです。完全にゼロにすることは難しいかもしれません。しかし、その不安に支配されるのではなく、今回ご紹介したような小さな習慣を試してみることで、不安との付き合い方を変え、今できることに意識を向け直すことは可能です。
どの習慣も、完璧に毎日続ける必要はありません。まずは「これならできそう」と思うものから一つ、気が向いた時に試してみてはいかがでしょうか。小さな一歩を踏み出し、今日の小さな「できた」を積み重ねることが、未来への漠然とした不安を和らげ、あなたらしいペースで前へと進む力になってくれるはずです。